90年代のギャルブーム以降、需要が低迷しているエクステ。
付け放題でも1万円台の格安店が街に溢れる中、「1人営業で売上300万円」「利益200万円」「客単価4万円」を実現しているエクステ店があります。
静かな住宅街の裏道にひっそり佇む1人営業の店は何をしているのか?
その経営と技術の秘密を全5回の連載で明らかにします。
<山本さんの技術を詳しく知りたい方はこちら>
1人で300万円売り上げる美容師は何をしているのか?
仁藤洋平(左)山本智昭(右)
こんにちは。仁藤です。今日は次世代エクステについて話していきたいと思います。
今日はゲストに山本さんという方をお呼びしています。山本さん、よろしくお願いします。
まず、山本さんから軽く自己紹介していただいてよろしいですかね。
横浜市(石川町)のエクステ専門美容室「セクション」
横浜でエクステ専門店をやっております。今1人でやってますね。
ありがとうございます。
っていうことで、今いろんな技術が美容室業界ってあると思うんですけど、その中で山本さんはエクステっていう技術を身に着けて、それの専門店をやられてるっていうことなんですよね。
で、山本さんは、僕のスクールに入っていただいていたことがあって、そこでいろいろ経営の勉強とかして、さらにエクステの技術を世の中に広めることができて、たくさんのお客さんが来てるっていうところです。
横浜のどこら辺でしたっけ?場所は?
横浜市石川町のエクステ専門美容室「セクション」
ホームページはこちら
石川町ですよね。僕も1回お店の近くまで行ったことがあるんですけど(笑)
静かな住宅街の裏道に佇むエクステ店
ですよね。なのでちょっとお店の中には入れなかったんですけど。
そこまで立地も駅からそんなに遠くはないんですけど、ちょっと商店街とかからは外れちゃって、ある意味、何て言ったらいいのかな、普通に住んでる人が多い場所にお店がポツンとある感じですよね。
静かな住宅街の中にあるエクステ店
石川町の商店街。店はここから徒歩3分程度
ええ。店なんかないんじゃないかって言えるような……
平均単価は4万円。リピート客は5万円を超えることも
実際もともとはそこまでお客さんも来てなかったかもしれないんですけど、いろいろネットを使って集客とかしてうまくいって、今だと相当な実績を出されてますよね。あんな小っちゃなっていったらあれですけど…
あんな場所で相当売上を上げている。横浜っていっても色々ありますしね。実際単価ってどれぐらいなんですかね?
今、新規のお客様で大体3万超えてるかなっていうぐらいですね。
「新規のお客様で単価3万円超えてますね」
既存のお客さんを入れると、全体的にはどのぐらいなんですか?
既存のお客さんは4~5万は絶対ですね。ボンといく感じになるので(笑)
アシスタントはいらない。1人営業で「貸切制」を貫く
すごいですね。1日多くて何人ぐらいやられてますか?1人でやられてるんですか?
1人なんで、大体マックス5人っていう風にしてるんですよ。1日5人までっていう感じにはしてるんですけど、大体5人入られるときはまずないので、大体3人ぐらいとかですかね。
それは何ですか。5人以上はやりたくないって感じですか?
なるほど。そうか。エクステだからそこそこ時間が掛かる…
そう。時間が掛かっちゃうので。お客さん同士を合わせないように絶対してるので。
被らないようにしてるので。エクステで貸し切りってあんまりないと思うので。
付け放題1万円の激安店がしのぎを削るエクステ業界
ほかのエクステサロンってどんな感じなんですかね?単価的にはどのぐらいなんですか?
いやいや、そんなにいかないですね。大体…今安いお店がいっぱいあるので、1万から1万5,000~6,000円とかじゃないですかね。
エクステなのにギャルが来ない?
新規のお客さんって単価3万円ぐらいってことですけど、何人ぐらい来られてるんですか?
大体20~30人来てます。ただ、既存のお客さんのほうが多いので、新規が入れない状況です。断られるから諦めちゃう人もいますね。
なんか、エクステのほかのサロンの人の話とかも聞いたことがあるんですけど、
今ってギャルブームとか、そういうのが終わっちゃってるから、結構厳しくなってるみたいですけど、山本さんの店は何でそんなに上手くいってるんですか?
「ギャルは来ないようにしてます」
とにかく自然に馴染む「大人のエクステ」を提案
なるほど。じゃあ、エクステサロンの中でも差別化してるっていうことなんですか。
そうです。うちはもう本当に「大人のエクステ」っていう感じで、普通の人だけに来てほしいと思ってるんですよ。
そうです。大人のエクステ。エクステの良さを教えたいっていう感じですね。
とにかく自然にするっていうことですね。気づかれないってことです。ボブからショートにしても、ボブとかショートからロングにしても気づかれないっていう感じですね。
とにかく自然に馴染む「大人のエクステ」
なるほど。ギャル向けのエクステサロンばっかだと思うんですけど、世の中。そういったお店とはもう全く違う形で。
もともとは、やられてたんですか。そういうギャル向けは?
昔はそうですね。昔はもう「ギャル専門店」みたいな感じでしたからね(笑)
「昔はギャル専門店でした(笑)」
でも、徐々に売り上げも減ってきたってことでしょう。
で、(店のスタイルを)ちょっと変える。大人のエクステって方向に変えて、エクステの良さをギャルだけじゃなくて一般の人に広げていきたいってとこで、そういったエクステを考えて、提供するようになって上手くいくようになったってことですね。
関東全域、関西、九州にも常連客がいる
で、単価も上がった。これは山本さんにこの間も話を聞いたんですけど、結構、横浜以外のお客さんも来てるって話ですよね。大体どんなところから来られてるんですか、お客さんは?
標準が、都内はもちろんなんですけど、千葉、埼玉、栃木、山梨、茨城…
「今は日本中から来てますね(笑)」
それも神奈川全域。それ飛び越すと今度は静岡の人が来てる。これが標準ですね。
で、一番遠い人は九州です。九州から飛行機でそのために来てくださったりとか、あと、大阪から新幹線で来たりとか、名古屋から夜行バスでわざわざ来てもらったりとかですね。
じゃあ、あれなんですね。山本さんのお店に来るエクステを求めてるお客さんっていうのは、何か悩みを持って来てるってことですね。じゃないと、あんなに遠くから来ないですよね。
「お客さんの悩みに答えているわけですね」
じゃあ、その悩みを改善させるエクステを提供してるっていうとこなんですね。
世界トップシェアのエクステメーカーのアドバイザーとしても活躍
「講師活動もしてるってことなんですけど…」
さらに今は講師活動とかもされてるっていうことなんですけど、それはどういった経緯でするようになったんですか?
今はシールエクステっていうのが主流になってきているんですけども…
はい。世界ではシールエクステが主流になってきてるんですよ。
日本展開にあたりテクニカルアドバイザーに任命
そのシールエクステってちなみにどういったものなんですか。
今までは編み込みだったじゃないですか。
でも、編み込みでつけると網目がボコボコ見えてしまうっていうことで、今シールでペタンって貼るエクステがあるんですよ。ボコボコしないので網目が目立たなくなる。っていうのがもう全世界で主流になってきてるんですよ。
その海外メーカーのシールエクステ、海外のセレブは全員そこのシールを使ってるっていうメーカーがあるんです。そこのメーカーが1年半前に日本にやっと上陸してきて、うちの店のことをすごい気に入っていただいたので「まず日本ではセクションさんで使ってください」って、うちに来てくれたんです。
山本さんがテクニカルアドバイザーを務める
世界トップシェアメーカーのシールエクステ「Hair Talk」(右側)
全国各地で講習を行う
そうなんですよ。「まずは使ってくれ」って。それでなおかつ「技術的なテクニカルアドバイザーもやってほしい」っていう依頼があって、そのメーカーさんと一緒に北海道行ったり、名古屋行ったり、仙台行ったり、福岡行ったりして講習を。
じゃあ、全国からお客さまも来るし、全国にも飛び回ってるって感じですね。
要は世界ナンバーワンシェアを誇るエクステメーカーさんの専属講師をやられてる……
そうですね。日本のそのメーカーのテクニカルアドバイザーみたいな感じですね。
じゃあ、日本で広めるためにまず山本さんが今活躍されてるっていうことですね。
すごいですね。それは毎月あるんですか?その講師活動は?
毎月でもないですね。
1年半前に始めて、そのときは結構毎月のようにやってたんですけど、大体今はもう何もしなくても売れてきてるので。(Hair Talkの)良さがみんな分かって。それで、大きな都市に呼ばれていくとかですね。
なるほど。じゃあ、日本でも結構今広まってきてるっていうことですか。
じゃあ、その最初の広める役目を山本さんが担ってたってことですね。
美容師がお客様として来る
何かほかに…今お店も繁盛してて、単価も高いし、新規のお客さんを断るぐらいになっちゃってるし、全国からもお客さんが来店されてて、さらに全国飛び回って講師活動もされてるってことなんですけども、ほかに何か今活躍されてることとか、実績とかってありますかね。
あと、そうですね。やっぱり美容師さんが来てくれますね。お客さんとして同業者が来る。
「同業者がお客さんとして来ますね」
それは何なんですか。どういった理由で来店されるんですか?
やっぱり自分の店では馴染まなかったりとかするので。自分の店でやってて馴染んでないと説得力がないじゃないですか。それでうちに来るという。
なるほど。美容師さんが自分の髪をやりに来るんですか(笑)
そうです。(自分の髪を)やりに来るってことです。自分のとこだと馴染まないから、うちに来てるってことです。
「エクステなら、うちじゃなくてセクションさん」
他店からお客様を振られることも
なるほどですね。で、山本さんに教えてもらったことを、お客さんにも提供したりしてるんですか?その美容師さんは。
いえ、例えばお客さんが、その美容師さんの店に行くじゃないですか。「エクステを付けたい」って。そうすると何て言ってるかっていうと、「うちで付けるよりセクションさんに行ったほうがいいよ」ってこっちへ振ってくるんですよ。
そうです。振ってくるんです。カラーとカットはそっちで、エクステはうちというパターンがすごい多いです。
じゃあ、美容師さんでもエクステを導入はしてるけど、いまいちそれを活かしきれてないというか……
そう、活かしきれてないっていう人がいたりしますので、そういう人が来ますね。
そういう人の場合は、もう山本さんのお店に振っちゃう。
「エクステのお客さんはセクションに振られる(笑)」
今回のまとめ
なるほどですね。今ちょっといろいろ話してきて、今エクステサロンって世の中に正直たくさんはあると思うんですよ。
だけど、今あまり業界的に上手くいってなくて。もっと言えば美容業界自体もちょっと難しい時代になっている。
でも、そんな中で単価も4万円という高単価で、新規のお客さんもいっぱいいて、全国からもお客さんが来るし、同業の人からも紹介していただけてるっていうところで、すごく上手くいってると思うんですよね。
その中でちょっとちらっと山本さんの話から、キーワードが出てきてたと思うんですけど、その「大人のエクステ」っていう部分、ギャル向けではなくて「大人のエクステ」って部分と、もう1つの「馴染む」っていうとこですよね。
そこがすごくキーポイントになるのかなと思うんですけど、山本さんは実際そこら辺がやっぱりほかのエクステだったりとか、単価が高くなったりとか、全国からお客さんが来るっていう理由、原因、要因になってるっていうとこですかね。
そこら辺の秘密をちょっと今回は長くなってしまったので、次回以降詳しく聞いていきたいと思いますので、山本さん、また次回よろしくお願いします。
ここまで聞いていただいてありがとうございました。また、次回の記事を楽しみにお待ちください。ありがとうございました。
小さなエクステ店の繁盛の秘密は、その特殊な技術にありました。
次回は、次世代エクステについて紹介します。
次の記事はこちら
<山本さんの技術を詳しく知りたい方はこちら>