令和時代の店舗経営のヒントを探る「未来の店舗経営」連載企画第3弾。今回は「多業種・多店舗展開の極意」について話します。
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目次
多田さんの経営者人生について聞きました
「今回は多田さんの過去について聞かせてください」
今日も未来の店舗経営について多田さんと一緒に話していきたいと思います。
よろしくお願いします。
これを読んでる方も共感する部分が多かったんじゃないかなと思います。
で、前回のような話ができるのは、やっぱり多田さんが今まで色々な経験をしてきたからじゃないですか?
なので、今回は多田さんの過去について詳しく聞いていきたいと思います。
経営者としてのスタートは20歳
「20歳で店を任されました」
オーナーさんとやりあって、お店を任されて、3年間でガンガン売上を上げてそこを買い取ったっていうところですね。
当時、意見が衝突して19~20歳ぐらいの時にお店を任せていただいて、やっぱりその時「まだ早い」って言われましたよね。
僕は自分とこの従業員でも、「19歳で独立したい」って言われたら「無理だからやめろ」って愛情があれば言いますよね。
だから、良い意味でちゃんと止めてもらえた。
あとは「こいつ面倒臭いから、1個切り離して自分から見えないとこで結果さえ残せばいいからやってこい」みたいな感じで出されたっていうのと両方なんですけど。
23歳で店ごと買い取った
「自分で出来るとわかったんです」
自分とアシスタントでやっていたお店なので、自分が独立しちゃうと、お店自体がつぶれちゃうっていう状況だったから。
なので、結構な額を払ってます。
さらに、前の店舗名でやりたくないから、全面改装をして自分の店舗名に変えたので、普通の出店と同じだけぐらいは掛かってますね。
いい独立の仕方ですよね。
最初から自分で顧客ゼロからオープンするより、完全に自分のお客さんしかいないから。
丸ごとね(笑)
24歳で、規模を拡大するために移転
「1年で捌ききれなくなりました」
当時、最高で売上200万上げていて、しんどすぎて、それをずっと続けることは不可能って、24歳の時に思ったんです。
あと、ちょうど1年ぐらいで全ての借金を返済しちゃったんですよ。
前倒し返済して。
なので、また簡単に借りられる状態になったのと、自分が体力的にしんどすぎるから広いとこに移転しようと。
物件を契約してから、人とお金を集めた
一応中心部なので、土すら無いし、街路樹も無いぐらいビルが密集しているエリアなんですよね。
そんなエリアにテラスっていうか、オアシスがほしいと思って物件を探していると、一瞬で見つかったんですよ。
なので、すぐ押さえちゃって。
当時スタッフは僕1人、まだお金も借りていないっていう状態で、運命みたいな物件が見つかっちゃったから押さえちゃって、それから人を探したっていう(笑)
そんな感じですね。
その時は融資も借りたんですか?
そうなると家賃は、最初は無駄に払ってる感じですね。
払ってましたねね。
半年ぐらい掛かりましたね、オープンまで(笑)
すごい。
あれはちょっと取られたくないなって思って。
押さえちゃったっていうとこですよね。
なかなか無いんじゃないですか?
勝手に砂を敷いちゃって良い建物なんてね。
全部クレーンで運んで(笑)
店内25坪+テラス20坪の店(笑)
観賞用みたいな感じ?
芝生を敷いて。
スタッフもいないから5席で始めて、スタッフが増えて……
で、足りなくなったから改装して最後は8席まで増やしました。
そのお金がメチャクチャ掛かってんのに、1年半ぐらいでそのテラス付きの店を出したんですよね?
1人でやってたからね。
お店のオープンまで半年かかったかもしれないけど、スタッフさんも来てくれて。
美容室が成熟する間に、飲食店を出した
「せっかくだから他のこともやろうと」
最初のオープニングスタッフはもう辞めちゃったんですけど、やっぱり僕も初めて人を雇ったっていうので、オーナーの器じゃなかったなって。
人を雇う器じゃなかったなって思います。
その後に入ってきたスタッフはまだ続いているんで、失敗を活かしながらやってきたという形です。
スタッフって、2年や3年で育つわけじゃない。
5年ぐらいずーっと、人を育てることと、店を流行らすことに徹していました。
ただ、自分のお客さんはいっぱいいるし、経営に困ってたわけじゃなくて、人が育つのを待ってた段階なので、結構飲み歩くことが多くなって、先に飲食店を始めちゃったんです。
たまたま良いバーテンダーと物件が見つかった
さらにまた良い物件が見つかったから、じゃあ出そうっていう(笑)
見つかんないときは全然見つかんないですよね、物件ってね。
でも、見つかる時ってのはパッと、運命的な出会いが。
そのバーテンダーの人もそれも飲み歩いてたから出会った?
たまたま知り合ってってことですよね。
お客さんとして来てくれてたんですけど、色々話してた時に「一緒にやりたい」って言ってくれたので。
物件は常にチェックしている
だから結構見てるってことですね?
不動産屋さんっていうか、動いてくれる人は何人もいます。
たまに「最近どうですか?」って聞いてみたり。
自分でも歩いたり自転車で回ったりとかして。
「良いの見つけました?」みたいな(笑)
ちょうど良いのがあったんですよね。
そこは駄目になっちゃいましたけど、あれもメッチャ良かったですよね。
最上階のやつ。
アンテナを常に張って。
50軒ぐらい見て、やっと1軒見つかりますね。
ネットに上がった物件はもう遅い
だから、もっとみんな探さないといけないと思うんですよ。
現地の地場の不動産屋しか持ってない物件とかあるから、やっぱりそこも行かないといけない。
それは売れ残っちゃってる物件ですもんね。
だから多田さんは、不動産屋との付き合いも1人だけじゃなくて、何人も抱えて(笑)
「まだ空いてないけど、あそこやめるらしいよ」っていう情報ね。
それを知りたいですね。
準備できますしね。
ぜひそこら辺は参考にしてほしいなと思うんですけど(笑)
美容室の2店舗目を出店。しかし・・・
「新しい店は上手くいったんですけど・・」
席が足りないぐらいになっちゃったんで、2号店の美容室をもう1つ出そうと。
その時の物件選びもまた苦戦して見つけたんですよ。
見つかったんだけど、ちょっとワンランク上の店を作れそうな物件だった。
新しい方のお店をさらに高級にしたプランを作って、スタッフに任せるよりかは自分が行ったほうが流行らせられるかなと思って、自分を一番立てた店にした。
今まであったお店は任せて。
もちろん新しいお店は上手いこといくんですけど、元のお店がちょっと失速気味になっちゃった。
自社ビル購入を決意
「スタッフ全員を見れるようにしようと」
テラスもあって、すごい思い入れがあったお店なんですけど。
だけど、やっぱりスタッフに苦労させるし、このままではいけないと思ったから、それで自社ビルを購入したんです。
ちょっと表に出そうと思って。
不動産屋さんに「この額だったら買う」って言っておいて「そりゃ無理だよ」って言われていたのが「そこまで落ちた」と電話を頂いて「じゃあ、買う」みたいな(笑)
そこでよく買えるよなと思うんですよね。
だって、最初にまず1店舗やって、そこは潰して新しい店舗をやって、飲食店をやって、その時点では2店舗しか持ってないわけじゃないですか。
そこでいきなり自社ビルですからね。
自社ビルですからね。
買っちゃったんですか、あれはもう?
外壁からデザインできることが嬉しかった
今まで内装しかできなかったのが、外壁からいじれるっていう、その嬉しさがすごい……(笑)
アメリカ中を周り家具を揃えた
こだわりのアイテムが並ぶ店内
仁藤さんは来ていただいたんで、ブルックリンって分かると思うんですけど。
ニューヨークに行ってブルックリンを見てきて。
早かったですよね。
ニューヨークってやっぱり何だろう…。
物が逆に……
高いものはあるんですけど、やっぱりあれだけ人がいるから、取られちゃってる。
だから、西海岸付近の広大な土地でやってるフリマで集めたり、あとはもう日本中回って。
結構田舎のほうへ行きました。
あと、アメリカの家具を扱ってるとこに行ったり。
店舗デザインは自分で行った
その都度知り合いっていうか、誰かしら繋がりがある人に頼んでます。
相場より全然安いです。
億とか掛かっちゃう可能性ありますもんね。
じゃあ、抑えられる部分は抑えて、自社ビルを実現できたと。
前の店は潰したんですか?
コンセプトを変えることによって新しい成功がある
やっぱりコンセプト変えるってすごい怖いことですけど、変えることによっての成功がある。
もちろん失敗もあるかもしれない。
失ったお客さんもいると思うし、前のあれが好きだったっていう人もやっぱりいっぱいいらっしゃるんですけど、それに勝るものが変化に伴って得られる。
良い感じにスタッフも成長してくれて、満を持したタイミングで自社ビルを出したので、スタッフにとっても良かったのかなとは思いますね。
じゃあ、来なくなっちゃったお客さんもいるかもしれないけど、結果的には良かったっていうことですね。
東京に進出し、新たな事業を開始
「東京で新しいことをやろうと」
今はまだ成長過程ですね。
で、自分の地元の高松市には、やりたいことが無くなってきちゃったから、東京に出てきたっていう(笑)
個人で美容師をしながら、マツエクサロンをM&Aで購入
「美容師だけやっててもつまんないので」
じゃあ、自社ビル建てて、2~3年経ったときには東京にもチョコチョコ来るようになって、マツエクのお店をM&Aで購入したりしてたってことですか?
個人で美容師もやりながら。
東京のお客さんもそこで作ったってことですか?
結構転勤族の方が多くて、自分がもともと切っていた方が東京に何十人か結構いたので、そういう人と連絡取ったり、電話で「切りに来てよ」と言われて東京に来始めた感じ。
東京のお客さんがちょっと増えちゃったから、今いる事務所みたいなのを前も作ったんですよね。
個人で美容師やりながら、マツエクの店舗を4つ。
人気観光スポット「北浜alley」に複合施設を構える
多田さんのプロデュースしたKITAHAMA PORT
多田さんによる紹介記事はこちら
2階建ての建物に雑貨屋、美容室、飲食店を併設
高松に。
最近ですね。
海辺に。
工事中ですよね、来ていただいた時は。
おしゃれなモールっていうか、センスのいいモールみたいな。
おしゃれなカフェだったり、飲食店が立ち並んでる。
高松駅からすぐだと思うんですけど。
雑貨屋もあって。
それを多田さんが作った。
酔っ払った勢いでやることになった
もともとそこに結構な老舗バーが入っていて、よく1人で飲みに行ってたんですよ。
そこのマスターが好きで。
そしたら、ちょっと歳なのと疲れたから、お店を誰かに引き継いでもらいたいって言われて。
朝の4時ぐらいで酔っぱらってるのもあるんですけど「じゃあ、僕やりますよ」って(笑)
言っちゃって。
やんなきゃいけないハメになっちゃったんで、ちょっと考えて。
同じことやっても意味ないから、もうごちゃ混ぜにしようと思って。入り口がいっぱいあるようなお店にした。
お茶飲みに来れるし、飲みにももちろん来れるし、ライブももちろん来れるし、あと観光客が結構多いんですけど。観光客の方がアクセサリーを見に来ててもいいし、自分たちの顧客ももちろん来るしという。
他業種が混じってるようなお店を作ったって感じですね。
初めて設計士を入れた(笑)
何かお金の話ばっかりしてますけど、掛かると思うんですよね。
あの規模の工事は。
消防で苦労して。
やっぱりすげえ古い倉庫なんで、ボロいんですよね。
あれは結構、工事が大変ですよね。
だって、そもそもない階段を作ったりしてるわけじゃないですか(笑)
消防通すのもね。
要は安全面をちゃんとしなくちゃいけないからね。
かっこいいものを作るだけでは駄目だから。
消防の関係で(笑)
そこはさすがにね。
プロじゃないと。
観光客が訪れる人気店に
安全性も保たなきゃいけないからね。
今も結構お客さんが来られてるんでしょう?
観光客がやっぱり多くて、今までやってきたお店とちょっと違う。
そこに面白みがありますね。
高松の観光名所になってますよね。
回り道はしたけど、後悔はない
「後悔してることは1つもありません」
無駄なお金をいっぱい使ってると思うし、無駄な改装もいっぱいしてるし。
ただ、やっぱり面白いものを作るっていうのと、その都度その時の自分の年に合った感覚で作れるから「あの当時作ったものはこうだったな」「今だったらこう作れるのになあ」ってのはありますね。
後悔してることは1個もないですけど、ちょっと回り道したなと。
移転ばっかりしてるので、時間は掛かってます。
今だったら、もっと最短で今の状態に持ってこれるなっていうのはあるわけですね。
スタッフにも自分と同じ独立はしてほしくないですね。
いきなり「1人でやる」って言われたら反対しますね。
「うちにいたんだからもっとやれ」「もっともっと攻めろ」って言いたいすね。
その方が楽だし、売上も上がるしとか。
次回は「未来の店舗経営のヒント」を教えます!
「次回は読者の方へのアドバイスをお願いします」
もう何年ぐらいですか、独立してからは?
その15~16年の間にすごい色々やられてきたわけですね。
15年間やってきても、1店舗しかやってない方も当然いますし。
それが駄目ってわけじゃないんですけど。
多田さんのように、今まで攻めてたり、色々挑戦してきたからこそ、これからお店をやろうと思ってる人とか、今お店をやって行き詰ってる人に色々アドバイスできるんじゃないかなあと思うんですよ。
なので次回は、多田さんの考える「未来の店舗経営のヒント」について聞かせてください。
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